長野県佐久穂町・八千穂地区。標高800メートルの高原に佇む黒澤酒造は、安政五年(1858年)創業の老舗蔵です。
清らかな千曲川上流の伏流水と、地元で栽培した酒米で醸す「生酛造り(きもとづくり)」が特徴。自然の力を引き出す伝統製法を守りながら、時代に合わせた挑戦を続けています。

ツアーでは六代目当主・黒澤孝夫さんが自ら蔵を案内。蔵の中には、江戸時代から受け継がれる木桶や仕込み道具が並び、静謐な空気が漂います。社長が最初に語ってくれたのは、「水」へのこだわり。黒澤酒造の酒はすべて、千曲川の伏流水を汲み上げた自社井戸の水で仕込まれています。
創業当時は横井戸と千曲川の水から始まった酒造り。その後、大正15年に23尺の2号井戸、昭和38年には50mの井戸、さらに平成13年には井戸への負荷を分散させるため80mの井戸を掘削。今では2本の深井戸を併用し、洗米・仕込み・瓶洗浄まですべて自社水を使用しています。
黒澤社長いわく「水は酒造りの“骨格”。守り続けるほど味がぶれない。」千曲川の伏流水は柔らかい軟水で、口当たりがとても良い。ミネラルウォーターとして販売されるほど品質が高く、その清らかさが黒澤酒造の味わいのベースになっています。

黒澤酒造は大吟醸から普通酒まで、すべて長野県産米を使用しています
主な原料は、
- 美山錦(全国新酒鑑評会 金賞受賞の実績あり)
- 南佐久産ひとごこち
さらに、自社精米にこだわる理由を黒澤社長はこう語ります。「米も水も、そして造り手も郷のもの。本来の意味での地酒をつくりたい。」
生酛造りに宿る哲学
黒澤酒造の看板銘柄「井筒長」は、“良き水ありて良き酒あり”の信念を掲げた酒。蔵では、天然の乳酸菌を育てる「生酛造り」を採用しており、深みと余韻のある味わいを生み出します。蔵見学では、発酵中のタンクからほのかな香りが立ち上り、蔵人たちの真剣なまなざしに参加者も引き込まれていきました。

夜は社長と乾杯のひととき
夕食では、黒澤社長と地元の方々を交えた懇親会が開かれました。テーブルには「井筒長」や「生酛 黒澤」をはじめ、蔵元自慢の銘柄が並びます。社長の手によるお燗と粕汁の温かさが旅の疲れを癒やし、会話も自然と弾みました。

参加者からは、
「粕汁やお燗づけのサービスがとても嬉しかった」
「お酒を飲むだけでなく、蔵元の人柄や哲学に触れられたのが印象的」
「酒造りを一緒に体験してみたい」
といった声が寄せられ、心に残る夜となりました。

風土を醸す蔵
「良き水ありて良き酒あり」黒澤酒造の信念は、八ヶ岳の自然そのものを映しています。澄んだ空気、豊かな水、そして人の手。そのすべてが一体となって生まれる一杯の酒。この蔵を訪ねることは、“日本酒が育つ風景”そのものを体験することでもあります。

佐久穂の夜に、盃を傾けながら語り合う時間。それは、ただの試飲会ではなく、“土地と人を味わう旅”でした。
黒澤酒造
〒384-0702 長野県 南佐久郡 佐久穂町穂積1400
ホームページ:https://kurosawa.biz/
黒澤酒造 酒の資料館 (酒器の展示室・民族資料室)
入場無料
【営業時間】10時〜17時
【休日】 年末年始(臨時休業等についてはお問い合わせください)
ギャラリー喫茶 くろさわ
【営業時間】10時〜16時30分
【休日】 年末年始(臨時休業等についてはお問い合わせください)
長野県 地域発 元気づくり支援金を活用して実施いたしました。

