世界的なミュージカルにも影響を与えた人形浄瑠璃の巨匠

八王子車人形西川古柳座 五代目家元 西川古柳さん

こんにちは!取材のため八王子車人形古柳座の稽古場へお邪魔しました。家元というと、着物姿で怖そうな方が出てこられると思い緊張気味で待っていると、Tシャツ姿の西川さんが現れる。全然気を使う必要ないからと自らお茶を入れてくださいました。

江戸時代から続く八王子車人形の五代目家元の西川古柳さん。「日本の人形劇は非常に芸術性が高いので、もっとたくさんの人に見て楽しんでもらいたい。」と優しく話してくれました。海外公演など忙しくされている西川さんに色々とお話を伺いました。

あうたビトストーリー

伝統芸能一家に生まれる

1953年八王子生まれ。代々続く車人形師の家に生まれ、祖父の三味線の音が響く普通の家庭とは異なる家に育ちました。父と母は、桑都と呼ばれ養蚕が盛んだった八王子で織物の仕事をしながら車人形を行っていました。子供の頃は、人形はもちろん舞台道具に触れる事は許されていませんでしたが、唯一触らせてもらえたのが「ろくろ車」(木製の箱に車輪がつけられた道具)。祖父や父の人形劇を見ながら、ろくろ車で遊んでいるうちに人形劇への興味が湧き上がって行きました。

本格的に人形浄瑠璃の世界へ

気さくな西川古柳さん

小学6年生になった頃、年上の従兄弟たちに混ざって稽古をスタート。中学1年で舞台デビューを果たすと公演があるたびに連れて行かれました。卒業後、日本を代表する人形浄瑠璃「文楽」で学び、海外の人形劇を学ぶためスウェーデンに渡るなど本格的に人形劇の世界へ入って行く。海外では、自分の車人形の技術を教えながらその土地の人形劇を学ばせてもらいました。平成8年(1996年)42歳の時に五代目西川古柳を襲名し家元となりました。

日本の伝統芸能から世界へ

昭和51年(1976年)のモスクワ公演以来、海外でも古典から新作まで様々な演目を公演。令和5年(2023年)には、ニューヨークなど北米5都市で上演し話題となり、令和6年(2024年)8月には、日米共同制作によるコンテンポラリー人形劇を日本で開催するなど多忙な日々を送っている。

また、日本全国の様々な人形劇団を訪れ、指導者としての役割も果たしています。西川古柳座は、現在13名の座員を抱え地元の子供たちに人形劇に触れてもらう活動なども行っている。

海外にも影響を与える

五代目西川柳玉さん

近年考案された「新車人形」では、人形の両手を自由に操ることができ、本来車人形が持っていた自由な足の表現に加え、首・足・手がリズミカルな素早い動きに対応できるようになりました。この操法は、海外の劇団にも注目され世界的に有名なミュージカル「ライオンキング」の舞台演出家も八王子まで視察に訪れ、実際の舞台でも採用されています。

人形浄瑠璃への想い

日本の人形浄瑠璃の多様性と芸術性の高さを強調する古柳さん。車人形をはじめ、手遣い、棒遣い、糸操り、影絵、からくりなど、日本の豊かな人形劇文化を多くの人に味わって欲しいと話す。伝統を守りつつ革新を続け、日本の人形劇界における重要な存在として、その魅力を国内外に広め続けています。

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