長野県南佐久郡・佐久穂町。北八ヶ岳の裾野を流れる清流「大石川」のほとりに、静かに佇む八千穂漁業の養魚場があります。ここでは、全国的にも評価の高い「信州サーモン」をはじめ、イワナやヤマメなどの渓流魚が、透き通る水と徹底した管理のもとで丁寧に育てられています。

代表の佐々木さんは、長年にわたって「清流とともに生きる魚づくり」に取り組んできた職人。「魚にとってストレスのない環境を整えることが、何より大切なんです」と語るように、餌の与え方や水温の管理に細やかな気配りを欠かしません。夏でも冷たい大石川の水は、魚の身を引き締め、旨みを育てる天然の恵み。
清流が育む、美しい魚たち
養殖場に足を踏み入れると、透明度の高い水の中をサーモンが力強く泳ぐ姿が見られます。水質を守るための工夫、魚に無理をさせない育成法など、佐々木さんの説明ひとつひとつから「手間ひまを惜しまない姿勢」が伝わり、参加者は皆、静かに聞き入っていました。

「養殖」という言葉から受ける印象が大きく変わる瞬間。清流がそのまま味の土台となり、魚体の美しさにも反映されることを目の当たりにし、サーモンの“育つ環境”への理解が深まっていきます。

アンケートでは、
「自分で捌くところまでの体験をしてみたい」
「燻製をつくって、日本酒と合わせるなんて最高」
といったアイデアも寄せられ、体験の奥行きを感じさせました。

「水の町」が育む味わい
八千穂漁業の魅力は、ただ“美味しい魚”を育てるだけではありません。大石川の清らかな流れ、八ヶ岳の森が育む空気、そしてそれを守り続ける人々の情熱。すべてが一体となって、「信州サーモン」という名の物語を紡いでいます。
佐々木さんの目標は、“魚づくり”を通して地域の魅力を伝えること。「自然と共にある養殖」の姿を見せることで、訪れた人が水と命のつながりを感じるきっかけになると話してくれました。

旅の締めくくりに味わう一皿
見学後の夕食では、信州サーモンと大王イワナのお刺身が並び「素材の力を最大限に生かした味わい」「水の美味しさが魚に現れている」と絶賛。養殖という言葉に抱く“人工的なイメージ”が覆されるほど、自然と調和した美味しさが心に残りました。

自然 × 人 の力で育った信州サーモン。その背景に触れる体験は、佐久穂町の“水と生きる文化”を象徴する時間でもありました。清流のせせらぎに包まれながら、人と自然が共に生きる現場を訪ねる。それは、佐久穂という町の真の魅力を知る旅でもあります。
八千穂漁業
〒384‐0701長野県南佐久郡佐久穂町大字畑126‐2
ホームページ:https://www.i-bushi.jp/
長野県 地域発 元気づくり支援金を活用して実施いたしました。

