こんにちは、あうたびの唐沢です。
今回は、茨城県常総市にある創業130年老舗の酒蔵で杜氏さんにあうたびです。こちらの蔵は、2015年の関東・東北豪雨により甚大な被害を受けました。あれから2年、復興を遂げる酒蔵で、杜氏さんの案内により日本酒の仕込み作業を体験したり、古民家を改装した直営のレストランで日本酒飲み比べとカジュアルフレンチの昼食をお召し上がり頂きます。日本酒とフレンチのマリアージュをお楽しみ下さい。
<こんな方にオススメです>
◎杜氏さんとお話しをしてみたい方
◎日本酒づくりを体験してみたい方
◎地域の復興支援や応援をしたい方
◎とにかく日本酒が大好きな方
「とにかく管理が大切です」野村醸造 杜氏 梅沢務さん
「とにかく毎日の管理をしっかりやる事が大切です。」酒造りで一番大切にしていることはと尋ねると、シンプルにそう答えてくれました。梅沢杜氏は、岩手県紫波町(盛岡の南に位置する町)で農家の長男として生まれ、将来は自ずと家を継ぎ農家になるつもりでいました。
20歳になった頃、酒蔵の杜氏をしている親戚から人手が足らないので手伝って欲しいとアルバイトに誘われたのが、酒造りとの出会いでした。それから、夏は農業、冬は酒造りという生活を送っていたある日、野村醸造の社長との運命の出会いがありました。
その頃、野村醸造では、毎年酒造りをお願いしていた杜氏さん(南部杜氏)が病気になってしまい、別の杜氏を探していました。「ピンチヒッターとして、とりあえず一年だけでも良いので、うちで酒造りをお願い出来ないか。」と社長から頼まれ単身茨城へ向かったのは、33歳の秋でした。
最初のうちは、互いの方言(盛岡弁と茨城弁)がうまく通じずに苦労しましたが、真面目な性格できっちり仕事をこなし、出来上がった酒の評判も良く、そのまま野村醸造で杜氏を務めることとなりました。それから岩手と東京を行き来する暮らしは、今年で25年目となりました。
『杜氏とは?』
日本酒の醸造方法とその管理方法は、世界でも類を見ないほど複雑にして精巧です。この技術を継承してきたのが杜氏であり、現在では酒造りを行う技術者を酒造技能者と呼び、酒蔵の長を杜氏、その他の技術者を蔵人と総称して区別しています。杜氏は、酒造りの責任の他、蔵人を総括し蔵内酒造現場の管理も行っています。杜氏とは全ての酒造技術面のエキスパートであるばかりでなく、統率力、判断力、管理能力にひいでた人格者、ジェネラリストであることが要求されるため、蔵人になれば、誰もが杜氏になれるとは限りません。(引用:日本酒サービス研究所)
農業と酒造りの関係
梅沢さんの生まれた町では、冬場の出稼ぎとして、全国各地の酒蔵へ杜氏集団(※)として酒造りに行っていました。最盛期は、近所の40軒中、半数以上の農家が酒造りに出かけていました。冬の間は、家族と離れて暮らし春になると故郷へ戻る生活です。梅沢さんの実家は、りんごやぶどうの果樹栽培の他に、稲作も行っている大規模な農家でしたが、同じように冬場はあまり仕事がありませんでした。
「これからは、社員杜氏(社員による酒造り)に切り替えないと生き残れませんよ。」と梅沢さん。近年では、杜氏制度を廃止し社員として杜氏や蔵人を雇用する酒蔵も増え、杜氏集団と呼ばれる酒造りの職人さんの数も激減しています。農業に従事する若者の数は減り、農閑期にわざわざ酒蔵に働きに来る人が減ったことが一因です。もちろん、現代人の生活スタイルの変化が、農業や酒造りに大きく影響していることは言うまでもありません。
※『杜氏集団』
統率された出稼ぎ酒造技師集団を杜氏集団と呼ぶ。有力な杜氏集団としては丹波、但馬、能登、越後、南部など全国に約30の杜氏集団が記録に残る。
梅沢杜氏の取材を終えて
最初にお会いした時は、ちょっと怖そうな印象でしたが、実はとても優しくて温厚な方でした。お酒を我が子のように思い、一時も目を離す事は無いそうです。造りの間は、気になると夜中でもお酒の様子を見に行くそうで、もちろん完全休暇も取らない主義だそうです。
酒造りは再現性が重要とのことで、毎年のデータを記録して、次の杜氏や蔵のためにきちんと残しているそうです。25年の大ベテランですが「どうすれば、どういう酒になるのか。最近やっとわかってきた気がする。」とあくまでも謙虚な梅沢さんでした。
冬場は、厳しい寒さの中で酒造りと向き合い、夏場は、岩手に戻って作物と向き合う日々。そんな忙しい梅沢さんの楽しみは、都内で暮らす娘さんとお孫さんに会うことだそうです。造り手の人柄を知るほどに、ますますその酒が旨いと感じられます。
清酒「紬美人」醸造元 野村醸造(茨城県常総市)
野村醸造は、「紬美人(つむぎびじん)」の醸造元として知られる創業130年老舗の酒蔵です。創業から約100年は、新潟県の越後杜氏による造りでしたが、先代の杜氏から岩手県の南部杜氏に変わり現在に至ります。昨今の日本酒造りにおいて、昔ながらの杜氏制度をとっている貴重な蔵元さんです。
2015年関東・東北豪雨により鬼怒川が氾濫し、野村醸造も高さ1.2メートルまで泥水に漬かりました。酒蔵はもちろん自宅も全て浸水し、瓶詰めした日本酒1万5000本も出荷できなくなり、被害総額は七千万円に達しました。その後、約500人のボランティアにも支えられ「1本でも良いから今年の酒、復興に向けた酒を造りたい。」という社長の強い思いもあり、9月の災害から僅か2ヶ月後には復旧し、少しずつ酒造りを再開しました。
社長の野村一夫さんは、ピンチをチャンスに変えようと一念発起。「復旧では元にもどるだけ。今まで以上にしよう!」と解体まで考えた、築100年の古民家(当時のご自宅)を全面改装し、地元の食材を使ったフレンチレストラン「BRASSERIE JOZO(ブラッスリー ジョゾ)」をオープンしました。他にも地域の野菜などを加工販売する食品部門「つむぎ野」も立ち上げました。
「紬美人」は、2017年10月フランス・パリで開催されたKURA MASTER(品評会)にて、プラチナ賞を受賞。海外に向けた商品開発にも力を入れている。
梅沢杜氏の案内で酒の仕込を体験します
梅沢杜氏の案内で仕込作業を体験します。酒の香りが漂う蔵の中は、凛とした空気が漂いお酒造りの厳しさが感じられます。酒蔵では、酒造りを行っている期間中は、蔵の中へ入ることは許されません。今回は、特別に蔵に入ることはもちろん、酒造りを体験して頂ける貴重な体験です。作業の内容は、当日の流れやタイミングにより決めさせていただきますのでご了承下さい。※製造工程の一部分を体験させていただきます。
【一般的な日本酒の製造工程】
1、精米
お米に外側の、雑味のもととなる部分を削っていきます。
2、洗う
お米についた不要な糠(ぬか)を落とし、水分をお米に吸わせます。
3、蒸す
蒸すことで麹菌を繁殖させやすくしたり、もろみの中で溶けやすくします。
4、麹(こうじ)造り
うまい日本酒造りの鍵を握っているのが麹。蒸米を台の上に広げて麹菌をふりまいて、菌の繁殖を待ちます。
5、酒母(もと)造り
麹と蒸米と水、そして酵母菌を入れて、酒母(もと)を造ります。
6、もろみ造り【仕込み】
ここまでに造った酒母に、麹、蒸米、水を加えてもろみを造り、十分に発酵させます。
7、搾(しぼ)り
ほどよく発酵した状態を見きわめて、醪(もろみ)を搾り酒をとり出します。
8、濾過(ろか)・火入れ
搾った酒をていねいに濾過(ろか)し、その後約60℃の熱で殺菌処理します。
9、貯蔵・ビン詰め
貯蔵し熟成させ、丸くおだやかな味にととのえます。腐敗防止のためにもういちど「火入れ」して、いよいよビン詰めし出荷します。
フレンチと日本酒のマリアージュを堪能します
昼食は、酒蔵に併設されている「BRASSERIE JOZO(ブラッスリー ジョゾ)」にて、カジュアルフレンチをお召し上がり頂きます。料理は、一流ホテルで腕を振るっていたシェフが担当、パティシエの作るデザートもご用意致します。純米大吟醸、純米吟醸、特別純米など色々な種類の「紬美人」の飲み比べを予定してます。
<スケジュール>
日 程 | 内 容 | 食 事 |
---|---|---|
3月3日(土) | ||
9:45 | 石下駅集合(関東鉄道常総線) 野村醸造へ(徒歩15分) | |
10:00 | 野村醸造到着 野村社長のご挨拶後、蔵の中へ。 梅沢杜氏のご案内で、日本酒の製造工程の一部を特別体験させて頂きます。 ※通常は、仕込体験は行っておりません。 | |
12:00 | 野村醸造が運営する フランス料理店「BRASSERIE JOZO」にて昼食。 お酒の説明を聞きながら、地産地消のフレンチをお楽しみ下さい。 純米大吟醸、純米吟醸、特別純米など貴重なお酒を飲み比べて頂きます。 | 昼食 |
13:30 | 野村 一夫社長よりお話しを伺います。 2015年関東・東北豪雨からの復興のお話し、海外展開への戦略、蔵の経営など。 | |
14:30 | 終了。解散となります。 |
※時間は目安となります。内容に関しても現地事情や進捗状況により、適宜変更をさせていただく場合がございます。
参加料金 | お試しモニター価格 5,000円 |
---|---|
料金に含まれるもの | 日本酒仕込み体験、フレンチの昼食代、飲み比べ日本酒代(特別なお酒もご用意)、受入ホスト代、旅行傷害保険 |
集合場所 | 石下駅(関東鉄道常総線) |
集合時間 | 9:45 |
アクセス | 秋葉原(8:30発)→つくばエクスプレス →守谷(9:02着/9:10発)→石下(9:39着)約1時間 1,562円 |
募集人数 | 8名(最少催行人数5名) |
キャンセル規定 | 10日前以降・・料金の20%、3日前以降・・料金の50%、当日・・全額 |
受付締切 | 2018年2月26日 ※定員になり次第締め切らせて頂きます。 |
備考 |
梅沢務(うめざわ・つとむ)杜氏
1960年3月28日岩手県紫波郡紫波町生まれ。農家の長男として生まれる。20歳より地元の酒蔵でアルバイトをしながら酒造りを学ぶ。33歳の時に、野村醸造からの誘いもあり杜氏に就任。以来、25年に渡り野村醸造の酒を作り続けている。春から秋は、地元の岩手に戻り、米造り、果樹栽培などを行う。
【予約・お問い合わせ】
あうたび合同会社
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担当:唐沢
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【取材・撮影協力】
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