佐久から世界へ!トップエンジニアが描く地域再生とチーズの夢

ボスケソ 代表取締役 是本健介さん (Kensuke KOREMOTO, Ph.D., MBA)

最初に是本さんにお会いしたのは、チーズラボを開設されて間もない頃だった。自分もチーズが好きで、大した知識もないままそれなりに楽しんで来た。取材を終え自宅へ戻り購入したチーズを食べて衝撃を受ける。「こんなチーズ、今まで食べたことがない!」それ以来、個人的にもボスケソの大ファンとなり楽しませてもらっています。

あうたび人ストーリー

1972年福岡県生まれ。福岡の大学を卒業後、東北大大学院で流体力学を学び航空宇宙工学の博士号を取得。卒業後、専門性を活かすため、本田技術研究所に入所。Formula1のチームの空力エンジニア、ビジネスジェット機、燃料電池車の開発などに携わってきました。

トップエンジニア時代

是本さんが手がけたフォーミュラ1カー 

在職中の2007年には学生時代から興味のあった経営について学ぶため、ビジネス・ブレークスルー大学大学院で経営についても学びました。努力によって成功は必ずしも約束されていないが、成長は約束されている。37歳の頃、自分の成長を感じながらホンダで新興国戦略などにも携わりたいと考えていました。

チーズとの出会い

料理が好きだったこともあり、その素材となるチーズにも興味を持ちナチュラルチーズのセミナーに参加。その時のナチュラルチーズの美味しさと面白さにすっかりハマってしまい、チーズプロフェッショナルの資格を取得。週末は、自宅のキッチンでチーズの試作を繰り返し、休暇をとって北海道へチーズを習いに行くなどチーズの魅力にのめり込んで行きました。

佐久との出会い

2005年頃から長野県佐久市にある義父方の実家が空き家になっていたので、週末や休みのたびに畑仕事や温泉、乗馬、趣味のチーズ作りを楽しんでいました。佐久に通ううちに地元の人とも繋がり仲間も増えていきました。この地域には、農家や信州サーモン養殖家、酒蔵、レストラン、蕎麦屋、パン屋と食のプロも多く、そんな人たちと一緒にチーズでこの地域を盛り上げたいと思うようになりました。

株式会社ボスケソ・チーズラボ創業

2015年トップエンジニアとして活躍していたホンダを退職。同年12月に株式会社ボスケソを設立。一年後の2016年12月には、チーズ作りの拠点となるボスケソチーズラボ(店舗)を長野県佐久市春日にオープンしました。欧州のチーズの製造手法を基礎とし、地元の地域資源を使った信州独自のチーズ作りにこだわり、地元の酒蔵の蔵付き乳酸菌で発酵させたり、近くのアルカリ性温泉水をチーズを洗うウォッシュ液に使ったりと、長野らしいチーズの開発に力を入れています。現在、牛乳および山羊乳を使ったチーズを20種類以上製造しています。チーズのセミナー、ワイン・日本酒とのペアリングセミナーも開催しています。

・CPA認定チーズプロフェッショナル
・JSA認定ソムリエ/ SAKE DIPLOMA
・ギルド・デ・フロマジェ ギャルド・エ・ジュレ
・World Cheese Awards 審査員
・IFC調理製菓大学校 発酵醸造科 講師

ボスケソ・ウマバル開業

2019年4月ボスケソチーズラボから歩いてすぐの望月馬事公苑に「ボスケソ・ウマバル」をオープン。色々なチーズが食べられるプレートランチ、ホエーを使ったオリジナルカレーなども味わうことができます。乗馬場を眺めながら、日本酒やワインとペアリングも楽しめます。

社名に込めた思い

スペイン語で「bosque(ボスケ)」は森や里山を指し「queso(ケソ)」はチーズを意味します。佐久に通ううちに「本当の豊かさとは何か」について考えるようになり、同時に日本の里山が荒廃していく現状にも心を痛めるようになりました。

チーズを通じて、自分にできることはないだろうか。家畜を活用して地域の環境を保全し、その家畜の乳と地元の高品質な特産品を組み合わせ、地域の活動として広げていくことができれば良いと思いました。このような土地のチーズを生産していくことで「ボスケ+ケソ=ボスケソ」の名前には、地域への思いが込められています。

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